今回は、こちらの質問について、人材会社で3年間、キャリアカウンセラーとして転職を斡旋していた私がご回答します。
また、「転職エージェントを利用しても大丈夫なのかな…」と不安な方に向けて、転職エージェントを利用するメリット・デメリットもご紹介しています。
転職エージェントとは
そもそも、転職エージェントとは、
- 人材を求めている「企業」
- 仕事を探している「求職者」
この2者をマッチングする、人材紹介サービスの1つです。
多くの転職エージェントは、企業へ求職者を紹介し、採用が決定した際に、企業側から「紹介手数料」を貰うシステムになっています。
業界や業種によって異なりますが、紹介手数料は「求職者に支払う年収×約20〜30%」が相場になっています。
また、近年勢いを増している「ビズリーチ」などは、企業・求職者どちらからも手数料を取るシステムになっています。
転職エージェントの仕組み
普段、人材業界や転職に関わりがない方に向けて、転職エージェントの仕組みをご紹介します。
1.企業の求人を集める
まず、サービスの大元となる「人材を求めている企業の求人」を集めます。
採用が決定するまで、費用が発生しないことがほとんどのため、急な人材不足だけでなく、優秀な人材確保のために、求人を掲載している企業もあります。
集まった求人内容は、転職エージェントのサイトなどに丸々公開してしまうと、求職者が直接応募をしてしまって、紹介手数料を貰い損ねることになります。
そのため、企業名や所在地をあやふやな状態にして、サイト上に公開をした上で、求職者からの応募を募る仕組みになっています。
2.求職者を集める
次に、広告などを利用し「仕事を探している人(求職者)」を集めます。
求職者の数が多いと、転職エージェントにとって、様々なメリットがあります。
- 企業に紹介出来る人数が増える
- 紹介成立の確率が上がる
- より優秀な方を確保することで、高い紹介手数料を貰うことが出来る
また、企業に対しても「○万人の人材がいます!」とアピールが出来るため、紹介への期待度やエージェントへの信頼度が向上します。
3.企業と求職者をマッチングする
人材を探している企業と、仕事を探している求職者から、それぞれの希望条件を聞き出し、マッチングする可能性があると判断した場合、双方に情報を開示します。
そして、双方の同意があった場合のみ、面接へと進み、採用が決まった際に「紹介手数料」が発生します。
採用に至らなかった場合は、手数料は発生せず、転職エージェントとしては、報酬を得る機会を失うこととなります。
転職エージェントのメリット・デメリット
ここからは、転職エージェントを利用する際の、メリットとデメリットについてご紹介します。
メリット
自分自身の市場価値を知ることが出来る
自分自身が身を置いている業界や業種、業務内容に対して、転職市場では、どれくらいの価値があるのか知ることが出来ます。
自分の市場価値を把握出来ていないと、今転職をするべきなのか、給料が上がるのかなど、大切な判断を誤ってしまう可能性があります。
まずは、市場価値を把握することで、転職時期の目安や、今後のキャリアステップについて、目指すべき方向性を決定するようにしましょう。
キャリアアップの道筋を提案して貰える
転職経験があまりないと、今持っているスキルをどのように活かせば良いのか、どのようにキャリアアップすれば良いのか、自分自身でも分からないことってありますよね。
そんな中、転職エージェントは、数々の方のキャリアアップを間近で見ているため、具体的な提案をすることが可能です。
実際の転職者の情報も知ることが出来るため、今後のキャリアアップの方向性について迷っている場合は、エージェントを活用してみても良いでしょう。
市場に出ていない求人を紹介して貰える
転職エージェントでは、サイト上に公開していない「非公開求人」を多数抱えていることがあります。
公開していない理由は、エージェントによって様々ですが、このようなケースが大多数を占めています。
- 新着求人で、未確定要素があるため
- 採用基準が厳しいため(対象者のみに開示)
- 人材採用をしていることを公表していないため
- 離職率が高く、年中サイトに掲載していると悪影響を及ぼすため
自分1人の力では探し出せなかった、掘り出し物の求人に出会う可能性もあるため、念のため確認してみる価値はあるでしょう。
履歴書の添削や面接サポートがある
転職エージェントとしては、採用率が上がった方が、利益を確保しやすくなるため、様々なサポートが実施されています。
履歴書や職務経歴書の添削があったり、エージェントによっては志望動機を一緒に作成するところもあります。
また、面接練習においては、事前に想定される質問に対して回答する、模擬面接を行ったり、当日の服装や身だしなみについても、細かく教えてくれます。
企業との連絡が不要になる
通常、自分で転職活動を行うときは、直接企業と電話や書類のやり取りを行いますが、転職エージェントではこれらの連絡を、全て代理で行ってくれます。
特に、就業しながら転職活動を行うときは、日中などの連絡であってもエージェントが対応してくれるため、安心して選考を進めることが出来ます。
企業に質問しにくいことも確認出来る
自身で転職活動を行う場合、賞与額や昇級率、有給や産育休の取得率など、面接の場では確認しづらいことも、転職エージェントが代理で確認を行います。
また、直近の退職者数や退職率など、求人情報には掲載されていないことも確認出来るため、事前に気になる情報はエージェントを通して、確認するようにしましょう。
デメリット
選考基準が厳しくなる
もし採用が決定した場合、企業は転職エージェントに対して、紹介手数料(年収の約20〜30%)の支払いが発生します。
そのため、通常の自社サイトで行なっている採用よりも、選考基準が厳しくなる傾向があります。
採用に投資した額(=紹介手数料)を回収できる人材であるか、厳しい目で見られることもあるため、もし不安要素がある場合は、企業のサイトから応募すると良いでしょう。
希望していない求人も紹介される
転職エージェントは、ボランティア活動ではないため、あなたにぴったり合う求人だけを、紹介してくるとは限りません。
紹介手数料が高い求人を優先的に案内したり、企業側から紹介を迫られている場合、希望の条件と少し外れていても、求人を紹介をしてくる場合があります。
「近い条件で人気があるのは…」「今後のステップアップを考えると…」と言葉たくみに誘導され、「面接だけでも行ってみませんか?」と提案されることも。
最終的に判断するのは、自分自身となるため、もしその場で判断できない場合は「一度家に帰って考えます」とお伝えしましょう。
採用辞退を引き止められる可能性がある
転職エージェント側の視点として、せっかく求職者と面談をして、企業と連絡をとって、採用が決まったにも関わらず、辞退をされてしまうと、今までの努力が水の泡になってしまいます。
そのため、言葉たくみに辞退を引き止めたり、企業側がもう一度会いたいと言っているなど、様々な手を使って阻止しようとするケースがあります。
辞退の判断に迷った場合は、転職エージェントだけでなく、家族や友人など、他人の意見も参考にすることで、冷静に判断するようにしましょう。
紹介手数料分の期待がのしかかる
採用が決定した場合、企業側の視点として「紹介手数料分の価値」がある人材だと、少なからず期待をしています。
通常、求職者自身に、紹介手数料の値段が知らされることはありませんが、企業によっては採用した後に、本人に伝えるところもあるのだとか。
転職では、誰しも通る道ではありますが、周りの期待に過剰に反応しないことが、うまくいくコツかもしれません。
最後に
転職エージェントについて、メリット・デメリットをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
転職エージェントは様々な情報を抱えているため、自身の市場価値の把握や、転職の情報収集のために利用するだけでも、十分価値はあると思います。
ぜひ、転職エージェントをうまく活用して、希望通りの転職を叶えてくださいね^^