今回は、こちらのご質問について、人材会社で3年間、キャリアカウンセラーを務めていた私がご回答します。
派遣社員は、正社員などとは大きく仕組みが異なるため、この記事では「派遣社員が就業するまでの流れ」と「メリット・デメリット」をご紹介します。
Contents
派遣社員とは
派遣社員とは「派遣会社」に雇用され、実際の勤務先に派遣される、雇用形態のことを言います。
多くの場合、雇用される派遣会社を「派遣元」、実際の勤務先を「派遣先」と呼んでいます。
派遣社員は、「派遣先」の指示に従って業務を行い、「派遣元」から給料を受け取る、特殊な形態となります。
派遣社員への応募〜勤務開始の流れ
派遣社員として、勤務を開始する場合、このような手順が必要となります。
1.派遣社員の求人へ応募する
派遣社員の求人の場合、勤務先となる「派遣先」ではなく、雇用主となる「派遣元」が求人サイトに掲載をしています。
また、求人内容から「派遣先」が分かってしまうと、応募者は直接派遣先へ連絡をしてしまうため、具体的な名称は伏せた上で、求人を公開しています。
まずは、ざっくりと求人内容を確認し、気になった内容のものがあれば、応募してみましょう。
2.派遣元との面談を行う
求人に応募した後、派遣元にてキャリアアドバイザーとの、面談を行います。
ほとんどの派遣会社では「履歴書」「職務経歴書」を元に、これまでの仕事内容や、退職理由の確認を行います。
ここでの受け答えなども、選考の一部となりますので、誠意を持って答えるようにしましょう。
3.派遣元より、求人の詳細が公開される
面談後、派遣元のキャリアカウンセラーより、応募した求人の詳細が公開されます。
具体的な企業名や、ネット上の求人には掲載されていない、細かな情報を把握することが出来ます。
首都圏や関西圏の場合、近くのエリアでも求人が出ていることが多いため、応募した求人以外のものを紹介してもらえることも。
新着求人や、ネットに公開されていない求人などを、持っている可能性もあるため「他に求人はないですか?」と聞いてみると良いでしょう。
4.派遣元から派遣先へ提案してもらう
面談終了後、キャリアカウンセラーから営業担当へ情報を伝達し、実際の勤務先となる「派遣先」へご提案を行います。
労働者派遣法上、派遣社員はあくまで「労働力の提供」であり、面接の実施は禁止されているため、法令を遵守している会社では、そのまま勤務開始へと進みます。
ただし、現状として、派遣会社の多くでは「顔合わせ」という名目で、面接が実施されており、双方の同意を得た上で、勤務開始となるケースがほとんどです。
顔合わせには、営業担当も同行するため、受け答えに不安がある場合は、予め相談しておきましょう。
5.派遣元で雇用される
派遣先での就業が決定した場合、派遣元での雇用手続きが行われます。
保険に加入する場合は、年金手帳や雇用保険者証などが必要となるため、予め準備をしておきましょう。
また、派遣社員の場合、派遣労働者としての雇用契約を締結することとなります。
給与や休日、契約更新、派遣法の規定など、細かく記されていますので、必ず一度は目を通すようにしておきましょう。
6.派遣先での就業を開始する
派遣元との雇用契約を締結後、ようやく派遣先での就業が開始します。
派遣会社によっては、初日に営業担当が同行することも。
それ以降、現場での指導や指示は、派遣先の担当者から行われることになります。
万が一、雇用契約内容や、事前に聞いていた内容と異なる場合は、派遣元の担当者に申し出るようにしましょう。
派遣社員のメリット・デメリット
ここからは、実際に私がキャリアカウンセラーとして関わってきた、派遣社員の方からの意見を参考に、派遣社員のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
正社員に比べて責任が少ない
労働者派遣法上、派遣社員は「派遣先の担当者」の業務指示に従って、労働力を提供することが務めとなっています。
そのため、派遣社員だけで、会社の業績に関わるような、責任の重い業務を行うことはありません。
あくまで、現場の担当者の指示に従う範囲で、業務を担当することになります。
残業がほとんどない
派遣社員には、就業時間が定められていて、所定の時間を超えると、派遣先に対して残業代を請求することになります。
派遣社員が残業するよりも、正社員の方が残業をした方が、会社のコスト的に少なくて済むため、緊急事態を除き、残業を強要されることはほとんどありません。
雇用期間が事前に決まっている
派遣社員には、就業を開始する際、雇用期間が定められています。
約1〜3ヶ月程度で、定期的に更新される求人が多く、契約終了時期に近づくと、契約更新するか否か、営業担当より確認があります。
旦那さんの転勤や、親の介護など、契約更新が出来ないと判断したときは、定められた雇用期間が終了すると、スムーズに退職することが出来ます。
デメリット
賞与がない
多くの派遣会社の場合、派遣社員に賞与が支払われることは、ほとんどありません。
同一労働同一賃金で、少しずつ是正はされていますが、契約社員やパートタイマーが優先され、派遣労働者まで広がるには、まだまだ時間がかかるようです。
毎月の収支で生計を立てられるよう、工夫して生活をするようにしましょう。
雇用が不安定
派遣社員は、雇用期間が定められていますが、派遣先の倒産や、業績悪化に伴い、更新をしたくても、出来ない状況が発生する可能性があります。
派遣会社は、次の就職先を提案する対応を取りますが、周辺に求人がない場合や、希望内容とは大きくずれることも。
雇用に不安がある場合は、計画性を持って貯蓄を行うようにしておきましょう。
また、2018年4月より、同じ企業にて、有期雇用契約が通算5年以上務めた場合は、期間の定めのない契約(無期労働契約)に転換することが可能です。
本人からの申請が必要となるため、希望する場合は、派遣元に確認するようにしましょう。
キャリアプランを描きにくい
労働者派遣法上、派遣社員のキャリア支援や、キャリアコンサルティングの実施が求められていますが、派遣社員も詳細を把握していないケースがほとんど。
実際の面談や、オンライン勉強会で学ぶことは出来たとしても、実際に希望する業務の枠に空きがないと、経験を積むことは出来ません。
挑戦してみたい業務がある場合は、同じ派遣元にとどまらず、求人を募集している別の派遣会社へ、移動することも視野に入れておきましょう。
派遣社員のメリット・デメリット まとめ
派遣社員のメリット・デメリットはこちら。
【メリット】
- 正社員に比べて責任が少ない
- 残業がほとんどない
- 雇用期間が事前に決まっている
【デメリット】
- 賞与がない
- 雇用が不安定
- キャリアプランを描きにくい
働き方が多様化する中、選択肢の一つとなる「派遣社員」。
メリット・デメリットを把握した上で、それぞれのライフスタイルに合わせて、活用していきましょう。
派遣社員の求人が気になる方には、複数の派遣会社の求人を、一度にまとめて確認することが出来るジョブリンクプラスがオススメ。
まずは色んな求人を見て、理想とするライフスタイルに当てはまるのか、イメージするところから始めてみてくださいね。